† アンデレ
Andrew (?〜A.D.60頃)


 十二使徒。ベトサイダ出身ガリラヤ湖の漁師。兄弟のシモン・ペトロと共に湖で網を打っている所を通りがかったイエスに「人間を取る漁師にしよう(マタ4:19)」と言葉をかけられ、それに従った。また、洗礼者ヨハネの弟子であったが、ヨハネの「神の子羊だ」との言葉を受けてイエスに従い、兄弟のシモンをイエスのもとに連れて行ったとも云われる(ヨハ1:41)。
 ガリラヤ湖で五千人に食べ物を配ったときに、パンと魚を持った少年をイエスのもとに連れて来た(ヨハ6:1)。
 イエスに会いたいと願ったギリシア人をフィリポと共にイエスに導いた(ヨハ12:20)。

 イエスの死後、小アジアやギリシアに向かい、多くの人々を回心させるが、アカイア(ギリシア)のパトラスの総督アイゲアテスの妻マクシミラを夫との不浄な関係を拒む禁欲的な信仰に導いたためにアイゲアテスの怒りを買って投獄され、×字型の十字架に架けられた。群集を怖れたアイゲアテスは一旦釈放しようとするが、アンデレは群集に自重を求め、十字架の上で二日間に二万人の群集に教えを説いた後、光に包まれて昇天した。その遺体はマクシミラによって埋葬され、その墓からは小麦粉状のマナと芳しい油が流れ出ていたと云う。
 また、イエスの死後ステュキュア(ウクライナ)に伝道に行っていたアンデレに現れた天使の言葉によって、マルグンディア(エティオピア)に行っていたマタイを訪れ、異教徒に抉られたマタイの眼を癒し、マタイがアンティオキアに向かった後もマルグンディアに留まって人々をキリスト教に改宗させたという話もある。
  •  祝日は11月30日。
  •  召された経緯については、マルコ、マタイでは突然拾われ、ルカの同様の記事ではペトロの舟の上から説教が行われた後、大量の魚が獲れる奇蹟が行われたことでペトロ、大ヤコブとヨハネがイエスの言葉に従ったとされるが、そこにアンデレの名前は無い。ルカを除いて最初にイエスに従った弟子の一人だが、他の記事でも三人はイエスに良く伴われるが、アンデレはそこにいることは無い。
  •  パトラスの司教がスコットランドのセント・アンドリューズ(聖アンデレ)にアンデレの聖遺物をもたらしたという伝承から、スコットランドの国旗(青地に白の×)に用いられている。スコットランドの他、ロシアとギリシアの守護聖人でもある。
  •  美術ではマントをまとい、髭を生やし、裸足、本と十字架(13世紀以降はアンデレ十字(×字十字)のこと。それまではT字十字)を持った姿で描かれる。
  •  聖遺物はコンスタンティノポリスへ移され、15世紀以降はローマにあったが、教皇パウルス六世(位1963-78)によって1964年にパトラスへ戻されたと云う。