† マティア
Matthias (?〜A.D.62頃?)
十二使徒。『使徒言行録』において、ユダに代わる十二人目の使徒が選出される場面(使徒(2:23、26))にだけ登場する。 イエスを裏切って自殺したイスカリオテのユダに代わり、洗礼者ヨハネによるイエスの洗礼から、復活と昇天のときまで一緒にいた者のなかから新たに選出された。72人の弟子(ルカ10:1-20)の中からバルサバあるいはユストと呼ばれるヨセフとマティアの二人が選ばれ、くじ引きによってマティアが選ばれて十二使徒に加わえられた。 イエスの死後は、ユダヤ地区を任せられ、伝道の後に安らかに身罷ったとも、十字架に架けられて殉教したとも伝えられる。 また、トリーアに伝わる伝承によれば、マティアはユダ族の出でベツレヘムの身分の高い家柄に生まれ、あらゆる知識と律法、預言書に精通し、仁徳に優れた人物とされる。その後、ユダヤ各地で伝道を行い、議会に呼び出されたマティアは、石で打ち殺され、ローマ式に斧で首をはねられた。このとき偽証者に対する証拠として、その石を墓穴の中に入れてくれるように頼んだと云う。 別の伝承によれば、ギリシア北部のマケドニアに伝道に行き、毒入りの杯を飲まされたが聖名を唱えたのでその害を受けず、毒で盲目になった人を癒したと云う。また悪魔によって投獄されたマティアの前にイエスが現れ、牢から解放されたマティアが偽神を信じる者は生きながら地獄に落ちると告げると、地面が裂けて彼らを飲み込んだので、他の人々はキリスト教を信じるようになったと云う。
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