貧血 (Anemia)
血液に含まれる赤血球は、その容積の1/3の量の血色素(ヘモグロビン)を持っている。何らかの原因で単位容積中の赤血球の減少、あるいは赤血球中の血色素含有量が減少した異常な状態のこと。 1gの血色素は、1.36mlの酸素を運搬することができる。組織で消費される酸素は6ml/dlだが、貧血の場合は酸素運搬能力が低下するために各組織は酸素欠乏状態になり、様々な症状を呈する。血色素濃度が5g/dl以下になると、組織に運ばれる酸素は6ml/dl以下になり、それを補うために循環血液量の増量が必要になり、心拍数の増加をきたし、種々の貧血症状が顕著になってくる。
急激な大量の出血では300〜400ml(約1/10)程度の出血でも、眩暈、悪心をきたし、より大量の場合には、末梢循環血液量が急激に変動するため、眩暈、蒼白、冷感、血圧下降、脈拍微弱、チアノーゼ、体温下降、失神などの激しいショック症状をも生ずる。 これに対して、内科的疾患の貧血の場合には、時間経過と共に貧血が進行することが多いので、身体は慣れており、組織の酸素欠乏も循環血液の回転で代償されていることが多い。そのため、極軽度の貧血(血色素10〜11g/dl程度)では自覚症状は現れにくいことが多い。血色素量が2/3(8.5〜9.5g/dl)ぐらいに低下すると、全身組織への酸素供給を円滑にするために、心臓は血液の駆出を盛んにして循環する血液量を増加させるので心拍数画増加し、酸素をより多く補給する努力として呼吸回数が多くなる。血色素が7.0g/dl前後になると、脳の虚血のために、いらいら、頭痛、眩暈が生ずる。5.5gl/dl前後では、赤血球減少で血液濃度が低下し、血流変化により心雑音が発生する。血色素量が正常の1/3ぐらいになると、全身の酸素欠乏が著しいため、全身の疲労感が強くなり、胃腸粘膜細胞の疲労のために食欲不振、悪心などを生ずる。3.0g/dl以下になると、生体の機能は危険な状態に陥り、最終的には心不全、昏睡に陥る。 血色素(g/dl)
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