ベリル (Beryl)
(Be3Al2Si6O18

 緑柱石。ベリリウム鉱物のことで、混入している微量の元素によって色が変化し、色によって異なる呼び名がつけられている。古くはエメラルドとベリルとは別のものと考えられていた。
  1. アクアマリン(藍玉) 鉄分に由来する水青色
     アクアマリンはラテン語の「海水」に由来し、海の精の宝物が浜辺に打ち上げられたものだという伝説をもつ。古代ローマでは海難防止と豊漁のお守りとされ、この石を浸した水は眼病や視力を癒すと云う。
     元は緑色を帯びているが、色を良くするため熱処理によって水青色に変えられていることが多く、ヘリオドールなども加熱によってアクアマリンにされていることもある。

  2. エメラルド(緑玉)  クロムに由来する緑色
     エメラルドの項目を参照。

  3. ゴーシェナイト    セシウムを含有する透明色
     ゴーシェナイトは、別名ホワイト・ベリルとも。無色の他、他のベリルで色の薄いものも含む。産地であるアメリカ合衆国マサチューセッツ州ゴッシェンに由来する。

  4. ヘリオドール     鉄分に由来する黄色。
     イエロー・ベリル、ゴールデン・ベリルとも呼ばれ、黄緑色のものも含む。ヘリオドールとはギリシア語で太陽を意味するヘリオと贈り物を意味するドーロンを合わせた造語で、1910年に南アフリカで発見された際に名づけられた。

  5. モルガナイト     マンガンに由来するピンク色

  6. レッド・ベリル    マンガンに由来する赤色
 ベリルの名はラテン語のBeryllusに由来するが、ラテン語・ギリシア語以外の外来語に由来するらしく、意味は良く分からない。


(1) アクアマリンは三月(宝瓶・双魚宮)、エメラルドは五月(金牛宮)の誕生石。『ヨハネによる黙示録』の聖都エルサレムの第八の土台石に緑柱石が当てられていたため、三月から始まる暦の8番目(十月)の誕生石にアクアマリンとベリルが定められていたが、20世紀に入って英米の誕生石の改正によってベリルの名はなくなることとなった。
(2) モース硬度は7.5〜8。